カーニバル編 サンバ用語集

ヂスフィーレ /Desfile


いわゆる「サンバパレード」のことです。
ヂスフィーレの特徴としては、テーマとストーリーを持っていることです。楽曲、装飾、身体パフォーマンスを尽くして、観衆の前で一つの物語を演じる、ヂスフィーレとは「路上のオペラ」であるといえます。なお、パレードにおけるパフォーマンス全体を指してヂスフィーレということもあります。

エンヘード /Enredo


ヂスフィーレの筋書き、物語のことです。
ヂスフィーレを作る際は、まずテーマを決め、次いでこの筋書きを組み立てます。そして、実際のヂスフィーレでは、この筋書きのひとコマひとコマを表す仮装した集団(アーラ)が順々に登場し、筋書きにのっとって作られた楽曲(サンバ・ヂ・エンヘード)とともに、物語を表現していくことになります。

サンバ・ヂ・エンヘード /Samba de enredo




ヂスフィーレの間演奏され、歌われる楽曲です。
ヂスフィーレのテーマや筋書きに沿って作詞作曲されています。多くの候補曲がコンペ形式で選考され、1曲に絞り込まれます。約3分程度のワンコーラスが繰り返し歌われ、演者と観衆を陶酔に包みます。

アーラ /Ala




ヂスフィーレの主体をなすパートです。
統一された色と形を持ついくつもの群集として、物語の各場面を表現します。振付けが決まっているもの、そうでないものがありますが、概して難しい決め事はなく、「カーニバルでハジケる」ことを全身で表現できるパートといえるでしょう。

アレゴリア /Carro alegórico




隊列の随所に加わる山車(だし)のことを言います。
巨大な構造物というインパクトを生かして、物語のトピックを観衆に強烈に印象付けます。本場リオと同様、動力は人力のみとされており、各アレゴリアの後部には屈強な男たち(通称ドレイ)が力を振り絞っています。

ファンタジア /Fantasia


創造や創作のイメージの意味もありますが、サンバにおいては衣装全般のことを言います。
カーニバルのファンタジアはエンヘードを表現して作られていて、ヂスフィーレ全体を理解する重要な要素のひとつです。

コミッサォン・ヂ・フレンチ /Comissão de frente



直訳すると「先頭委員会」。
ヂスフィーレの先頭に立ち、観衆にエンヘードの内容を一発で伝える事が要求される、「つかみ」のポジションです。ここで観衆の心を一気につかみ、後に続く隊列の内容に期待を持たせるため、各エスコーラとも動きや仕掛けに工夫を凝らした演出をします。

アブリ・アーラ /Abre alas




「アーラに先立つもの」という意味の、アレゴリアの一種です。
コミッサォンと同様、後に続く隊列があらわす主題を端的に表現し、観客を物語に引き込む役割を担います。

カザウ(ポルタ・バンデイラ&メストリ・サーラ) /Casal(Porta bandeira e Mestre sala)




エスコーラの旗を持った女性(ポルタ・バンデイラ)と、それを介添えする男性(メストリ・サラ)によるカップルのパートです。
エスコーラの象徴である旗を預かるこのパートは大変名誉な役割であり、貢献、情熱、技術、全てが要求されます。衣装は超豪華で、かつ超重量級。

クリアンサス /Ala das crianças



エスコーラの次世代を担う輝かしくも微笑ましい、子供たちによって構成されるパートです。
演じる役割はエンヘードの内容によって様々ですが、その特徴を生かし、天使や妖精といった幻想的な役どころを受け持つことが多いです。なお本場のエスコーラでは「少年部」に相当する子供たちだけのエスコーラが存在し、子供だけでヂスフィーレを行っています。

バイアーナ /Baianas



エスコーラに長年貢献した年長女性が務めるパートです。
ブラジル北東部、バイーア風の大きなターバンとスカートを身にまとい、衣装を揺らして進んだり、ぐるぐる回ったりといった動きをします。

バテリア /Bateria



さまざまな打楽器を演奏するパートです。
彼らが叩き出す音の鼓動に乗ってヂスフィーレは一頭の獣のごとく前進します。隊列の中の心臓ともいえるパートです。

ムジコス /Músicos



弦楽器を演奏するパートです。
カヴァキーニョ(4弦、ウクレレのような見た目)と、ヴィオロン(7弦でベースの役割もするギター)がメインとなります。

プシャドール(インテルプレッチ) /Puxador(Interprete)




いわゆる「歌い手」です。
カヴァキーニョやヴィオロンといった弦楽器の伴奏に乗って、カーニバルのテーマ曲(サンバ・ヂ・エンヘード)を歌い続けます。旋律以外にも掛け声や呼びかけを入れて、ダンサー・バテリアの士気をぐいぐいと高めます。「プシャドール」は「隊列を引っ張るもの」という意味なのです。

パシスタ /Passista




(主に女性の)ソロダンサーを指します。
テーマそのものの表現もさりながら、サンバ・ノ・ペと呼ばれる激しいステップを踏むことで、サンバそのもののエネルギーを表現します。ダンサーの中でも、とりわけ高い技術が求められるパートです。衣装としてはタンガと呼ばれるビキニに羽根を背負っており、一般に「サンバダンサー」として想像されているあの姿です。

ヂスタッキ /Destaque




アレゴリアの上に乗るダンサーのことです。
高い台の上に立ち、見上げる観衆の視線を感じながら華麗に魅せることを主眼としたパートであり、目立つことにかけてはどのパートにも引けをとりません。

ヴェーリャ・グアルダ /Velha guarda




エスコーラに大きな貢献を続けてきた老人たちで構成されるパートです。
燕尾服やステッキ、ナイトドレスを模した華やかな正装で登場します。自らがエスコーラの誇りを体現し、また他のメンバーから尊敬を受けるポジションです。

アルモニア /Harmonia





ヂスフィーレのコーディネーターともいえるパートです。
隊列が時間通り進行しているか、適切な間隔を保っているかを調整し、隊列全体に調和を与えます。