「まる!〜サウーヂはぜんぶ、◯」シノプス公開!

サウーヂの2018年浅草サンバカーニバルのテーマは「まる」。
そのシノプス(あらすじ)について、カーニバル構成班からご紹介します。

「まる!〜サウーヂはぜんぶ、◯」

〇は至るところに存在する。
その形の美しさは美術や建築に応用され、その神秘性は宗教家に宇宙の真理を見せる。
禅において円は悟りや真理の象徴であるし、キリスト教の円は永遠を表し、聖人の後背には円光が描かれる。
心理学者ユングは円を描く行為が自分の内面の表現になっていることを発見し、円を描くことで心を平静にする作用があるとした。
子どもに好かれるキャラクターを作るなら円形が基本(ドラえもん、アンパンマン)とされるのも、本能的に丸いものに親しみや安心を覚えるからという。
社会的な意味では円、輪は集い、包容、調和を表す。
一方で、図形としての〇は回転や循環などの動のエネルギーも想起させる。
不思議で魅力的なかたち、〇。

このようにさまざまなイメージを内包している「〇」だが、サウーヂにとって、もっとも重要な意味を持つイメージは「肯定」だ。
「〇」と「×」は日本において肯定と否定の記号だと子どもからお年寄りまで誰もが知っている。
〇は「正解」であり、「それでいいよ」というメッセージだ。

サンバ発祥の国ブラジルは多民族国家であり混血文化を持っている。

先住民インディオ、アフリカから連れてこられた黒人奴隷、ブラジル開拓をすすめたヨーロッパ人が混血を繰り返したことに加え、日本を含めた他国からの移民を積極的に受け入れた結果、ブラジルは多様性を得た。
誰かと違ってもいい、どんなに貧しくともどんな自分でもOKという圧倒的自己肯定感がそこにはある。自分に寛容であるから他人にも寛容になれる。
違いを受け入れる寛容さはサンバに受け継がれている。
どんな容姿でも、どんな経済状況でも、どんな心理状態でも、人間は美しく素晴らしいものだ。
サンバの人間賛歌は「肯定」が根底にある。

かつてジョン・レノンがオノ・ヨーコと出会うきっかけとなり、感銘と衝撃をうけたという彼女の「「天井の絵 Ceiling Painting (YES Painting)」という作品は、部屋の真ん中に脚立が置いてあり、虫眼鏡で天井に書いてある文字を読むというものだった。そこに書いてあった文字は「YES」。

サウーヂは〇を表現することで、すべての人に「まる!」「それでいいんだよ」という全肯定のメッセージを送りたい。

カーニバル構成班