メンバーのなかには、浅草サンバカーニバルの本番だけ参加する「当日アーラ」の一員として活動を楽しんでいる人も。募集は毎年６～7月頃よりスタート。数十人で構成される当日アーラは、隊列中で最大規模の重要パートです。当日アーラでカーニバルを満喫している「かんちゃん」に、話を聞かせていただきました。
浅草に出ないと夏が終わらない！！
――浅草サンバカーニバルに初出場したのはいつでしたか？
かんちゃん 初出場は2012年でした。それ以来毎年、当日アーラでサウーヂの一員として隊列に加わり、いまでは「浅草に出ないと夏が終わらない！」と思っています。
――2012年と言えば、サウーヂが2度目の優勝を果たした年ですね。
かんちゃん 浅草サンバカーニバルがコンテスト形式だと知らずに出場していたので「優勝ってどういうこと!?」みたいな感じでした（笑）。2012年のサウーヂは、前の年の浅草サンバカーニバルが、東日本大震災の影響で中止となったからなのか、たまった鬱憤を晴らすかのような感じで、ものすごいエネルギーを放っていた気がします。
――優勝を経験したことで、カーニバルが印象深いものになったんですね。
かんちゃん はい。でも「優勝したから楽しかった」わけではないんです。初出場した2012年は、「こんなに楽しめた上に、優勝なんていう“素晴らしいオマケ”が付いてくることもあるのね」っていう感覚でした。そして、その感覚こそが、私が毎年当日アーラをやっている本質的な理由になっています。
当日アーラはノリノリで盛り上がるのが大事
――サウーヂの存在や、当日アーラを知ったきっかけは？
かんちゃん 私がアルバイトしていた飲み屋に、サウーヂのメンバーがお客さんとして来たのがきっかけでした。お酒が進むと、サウーヂのメンバーたちは店内でパゴーヂをやり始めて……、パゴーヂっていうのは、食べたり飲んだりしながらサンバ楽器と歌で盛り上がる“サンバ流ドンチャン騒ぎ”みたいなもので……、それを聞いていて自然とリズムに乗ってしまったんです。その流れで「当日アーラというパートでカーニバルに出られるよ」と教えてもらいました。
――それで即座に当日アーラに申し込みを？
かんちゃん 即座にではなかったです。「ひとりで乗り込むのはムリ！」と思って、身近で一番ノリのいい友達を誘いました。幸いなことに、友達が二つ返事で決めてくれたので、私も覚悟が決まりました。
――初出場したときのことを振り返ってください。
かんちゃん サウーヂの出番は夕方でしたが、集合はお昼前でした。「何の心構えもなくノリで来たんですけど、いいんですか？」みたいな気分でしたが、1時間くらいの振り付け練習をするうちに、どうやら“大勢がノリノリで盛り上がることがものすごく大事らしい”と分かってきたのを覚えています。
――振り付け練習は難しくないですか？
かんちゃん カーニバル当日に初めて会う人も多いので、振り付けは毎年シンプルです。難しいと感じたことはありません。当日アーラのメンバーを仕切ってくれる担当者さんが口にする 「毎年当日アーラの練習を担当してますが、今年のみなさんはいままでで一番でーす!!」というお約束のフレーズも、なんだかすごくうれしいんですよね。
「こんなに楽しんじゃっていいの？」という気分に
――練習を終えて、出走を待つ間の心境は？
かんちゃん 練習後は衣装を受け取って控え室へ行くのですが、ここからはカーニバルのために通年で活動をしているメンバーたちと集団行動することになります。自然と緊張感が高まりますね。待機場所には他のチームの人たちもいて、身が引き締まるような感覚もあります。
――待機中、当日アーラの仲間とはどんなコミュニケーションを取っていますか？
かんちゃん 振り付けを確認したり、衣装やメイクをお互いにチェックしあったり。そういう時間を通じて、初めて会った人とも一体感が生まれていくんです。
――出走直前や本番中は？
かんちゃん 広い道路のど真ん中に立つと、沿道には人だかりが。「まぁ、何とかなるさ」と思っていると、代表者の方がマイクでメンバーを鼓舞し始めます。その雄叫び、息遣いを通じて伝わってくるカーニバルへの1年分の思い……。それに呼応して「待ってました」とばかりに鳴り響くバテリアの大音量！ 初めて間近で味わったときは、ものすごく興奮して鳥肌が立ちました。スタートからフィニッシュまでは約40分間。とにかくあっという間です。
――本番を終えた後は？
かんちゃん 余韻に浸りながら控室で着替えて、その後銭湯へ行くパターンもありです。夜は桜木町へ移動して打ち上げに参加。「こんなに楽しんでいいのか!?」「オイシイ部分だけ、いいとこ取りしてないか!?」と不安になることもありますが、どうやら大丈夫らしいので（笑）、ひたすら楽しませていただいています。
――当日アーラに興味がある人に伝えたいことはありますか？
かんちゃん 何度も出場していますが、私にとってサウーヂの当日アーラに参加することは夏に欠かせないものとなりました。みなさんも一緒に「夏の終わりを楽しみましょう」と伝えたいですね。
プロフィール
かんちゃん
2012年に当日アーラで浅草サンバカーニバルに初出場。
アルコ（ダンサー）
2017年の夏に、サウーヂのダンサーとして浅草サンバカーニバルに初出場したアルコさん。サウーヂへの加入は数年越しの夢だったとか。
千里（ダンサー）
2018年、キャリア3度目となるハイーニャ・ダ・バテリアを務めることになった、ダンサーの千里さん。どんな経緯でサウーヂに加入し、いかにキャリアを積んできたのか。
はじめ＆まちゃ（バテリア）
サウーヂには、家族や夫婦そろって参加しているメンバーも多い。東京都八王子市在住はじめさん＆まちゃさんご夫妻（2016年9月加入）は、練習の度にサウーヂの活動拠点・横浜へ通っている。
パテュー（プシャドール）
サウーヂの研修生として、リオ・デ・ジャネイロに3か月間滞在。マンゲイラの息吹を直に感じてきたパテューさんに、話を聞きました。